【子どもの踵の痛み】シーバー病が治らない本当の理由|早期改善と再発を防ぐ根本治療とは

【子どもの踵の痛み】シーバー病が治らない本当の理由|早期改善と再発を防ぐ根本治療とは

「最近、うちの子が練習のたびに『かかとが痛い』と訴えるようになった」

「病院でシーバー病と言われて、安静にしていたけど、スポーツを再開するとすぐに痛みがぶり返してしまう」

サッカーやバスケットボール、陸上など、スポーツに打ち込むお子さんを持つ保護者の方から、このようなご相談をたくさんいただきます。大切なお子さんが痛みで辛い思いをしていたり、大好きなスポーツを思いっきり楽しめなかったりする姿を見るのは、親としてとても辛いことですよね。

この「シーバー病(踵骨骨端症)」というのは、成長期の子どもたち、特に10歳前後のスポーツを頑張る男の子に多いスポーツ障害です。(女の子でも起こります。)

 

一般的には「成長痛の一種だから、成長が終われば治る」「安静にしていれば大丈夫」と言われることもありますが、実際には痛みが長引いたり、何度も再発を繰り返して、数年間悩んでいる子たちもたくさんいます。

 

なぜ、安静やストレッチだけではシーバー病が改善しないのでしょうか?
そこには、痛みが出ている「かかと」だけではない、本当の原因が存在するんです。

 

この記事では、シーバー病がなぜ治りにくいのか?、その根本原因と、痛みを早期に改善し、再発させないための専門的なアプローチについて詳しく解説していきます。

 

 

  • なぜ繰り返す?一般的な治療の限界とシーバー病の根本原因

 

子どものかかとの骨(踵骨)の後方には、骨が成長するための「骨端線」という柔らかい軟骨部分があります。この部分は他の骨と比べて柔らかいため、物理的な刺激に弱いのが特徴です。ランニングやジャンプといった動作を繰り返すことで、ふくらはぎの筋肉と繋がる「アキレス腱」や、足の裏にある「足底腱膜」に強く引っ張られ続けます。この繰り返す牽引力が炎症を引き起こし、「運動中や運動後のかかとの痛み」「腫れ」「押すと痛い(圧痛)」などといったシーバー病の症状を引き起こしているのです。

 

そのため、一般的な治療法としては、まず第一に「安静」が指示されます。スポーツ活動を一時的に中止または制限し、かかとへの負担を減らすことが目的です。

そして、炎症を抑えるための「アイシング」、硬くなったふくらはぎや足裏の筋肉を伸ばす「ストレッチ」、衝撃を吸収するための「インソール(中敷き)」の使用などが勧められます。

 

整骨院やリハビリでは、ふくらはぎや足裏の硬くなった筋肉のマッサージや電気治療、患部の炎症を抑えるために超音波治療などが行われます。

 

これらの対処法は、確かに一時的に痛みを和らげる効果はあります。しかし大半は、練習を再開すると痛みが再発してしまいます。

 

が、それもそのはずで、一般的に行われているシーバー病の治療方法は対症療法でしかなく、根本療法ではないからです。

これが、シーバー病で悩む子どもたちが多い理由です。

 

 

一般的な治療方法で、一時的に痛みが引いたとしても、体の使い方のクセや、かかとに負担をかけてしまう動きが改善されていなければ、運動を再開によって、またかかとに負担がかかり、痛みが再発するのは当然の結果です。

 

つまり、シーバー病を根本から改善し、再発を防ぐためには、痛むかかとを冷やしたり、硬くなった筋肉をマッサージしたりするだけでなく、『なぜ、かかとにばかり負担がかかってしまうのか?』という原因を見つけ出し、その問題を解決することが必要不可欠なのです。

 

 

  • 痛みの早期除去から再発予防まで|シーバー病に必要な根本的アプローチ

 

では、かかとへの負担を生み出している体全体の課題を解決するためには、具体的にどのようなアプローチが必要なのでしょうか。当院では、単なる対症療法に留まらない、根本原因の解決を目指すことで、早期の競技復帰と再発予防を目指します。

シーバー病を根本的に解決するためには『なぜ、かかとにばかり負担がかかってしまうのか?』という原因を見つけ出さないといけません。

 

一見、すごく難しいように感じますが、実はすごくシンプルで、『痛くなった時に何をしていたのか?』がそのまま原因になります。

多くの場合、練習や試合などのスポーツや運動中に痛みが出てきます。その中でも、走っている時に痛いのか?ジャンプした時に痛いのか?が重要なポイントになります。

 

走っている時に痛くなったのなら走り方に、ジャンプで痛いならジャンプの仕方に、痛くなる原因=かかとに負担がかかっている動作、ということになります。あとはその動作の時に、かかとばかりに負担がかからないようにしていく、ふくらはぎや足裏の筋肉以外に負担を分散させていく、ということをしていきます。

 

シーバー病に関与するのは、足首の関節やふくらはぎや足裏の筋肉です。これらの関節や筋肉よりももっと大きくて頑丈な関節や筋肉を使えるようにしてあげることで、かかとにばかり負担がかかるのを防ぐことができます。

脚の中で一番大きな関節は股関節、人体で最も大きい単一の筋肉はお尻の筋肉です。股関節やお尻の筋肉を使うことができるようになると、足首やふくらはぎ・足裏にかかる負担も大幅に抑えることができます。その結果、シーバー病の症状は急激に緩解していきます。

 

「炎症が残ってるじゃないか!」という声も聞こえてきそうですが、たとえ炎症が残ってようと、傷が残ってようと、その部分に刺激が入らなければ痛みは生じません。わかりやすいのは、膝をすりむいて血が出ていたとしても、はじめはジンジンしたりしますが、しばらくするとあまり痛みを感じなくなりますよね?ですが傷口を触ると痛い…。刺激が入ると痛みは生じるんですが、刺激が入らないと炎症が残っていたとしても痛みは出なかったりします。

 

 

 

  • ケガはするほど上手くなれる!?|お子さんの可能性を最大限に引き出すために

 

体の使い方を変える。足首やふくらはぎを使ってスポーツをしていたのを、股関節やお尻の筋肉を使ってスポーツができるようにしていく、ということをしていくわけですが、スポーツをする際に、より多くの関節や筋肉を使うことになります。今まで使えていなかった関節や筋肉が使えるようになるのです。そうすると、発揮できるエネルギーが格段に増える、というイメージが容易にできると思います。

そう!

シーバー病になるということは、「今までかかとに負担をかけすぎてたよ!」という体からのサインで、そのサインに適切に応えてあげると、よりパフォーマンスは高まっていくのです。

 

でも体からのサインに気づかずに、対症療法ばかりで誤魔化し続けると…、体は無視されたと思って、どんどんサインを大きくしていきます。

 

シーバー病が長引いたり、繰り返したりしているのは、体からのサインに適切に応えられていない証拠だったりします。逆に、適切に応えてあげると、みるみるうちにシーバー病は解決していきます。

 

実際に、当院でもシーバー病の子で、1回の来院で痛みが消えた子もいますし、動作改善オンラインでは一度も来院せずに、自分で治した子もいます。そしてほとんどのケースで、復帰と同時に、「走りやすくなってる」「足が速くなってる」「キレがでてきた」などのパフォーマンスが上がっていることを感じ取っています。

 

シーバー病だけではないですが…

シーバー病になってしまったと言って、落ち込まなくてもいいんです!ショックを受けなくてもいいんです!むしろ、「上手くなるチャンス!」なんです。

その為にも、痛みに囚われて対症療法で誤魔化すのではなく、なぜシーバー病になってしまったのか?という本当の原因を見つけて、解決するようにしてください。

そうすることで早期復帰、再発予防に加えてパフォーマンスの向上も同時に目指すことができます!

 

ケガを怖がらなくて大丈夫!
ケガで落ち込まなくて大丈夫!

ケガはするほど上手くなれるんです!

 

 

Youtubeでもシーバー病を治すための動画を公開しています。
ぜひ参考にしてみてください!

著者プロフィール  高橋 迪大(たかはし みちお)

たかはし鍼灸接骨院 院長
鍼灸師・柔道整復師・鍼灸専科教員
京大フェンシング部 トレーナー
NPO法人 TRAINER'S BANK 理事

《経歴》

  • ビーチサッカー日本代表選手のトレーナー
  • JFL 京都佐川印刷SC トレーナー
  • 京都精華学園中学・高等学校女子サッカー部 トレーナー
  • 和邇SSS トレーナー・コーチ
  • オスグッドの専門家としてTVへの出演